アベノミクス効果がどこまで影響しているかはわかりませんが、確実に日本の景気はここ数年、上向いてきています。
実体経済は別としても、企業の業績は過去最高を更新し続け、株価も右肩上がりなのは事実ですので。
そんな実感はない?
ですよね。
私も仕事上では景気がいいなぁとはそれほど感じません。
幸い、投資である程度資産は増やせていますが、それ以外ではそこまで実感はないです。
いまさら感がありますが、原因は賃金が上昇していないのと、税負担が増えているためです。
この辺りを話し出すと長くなるため割愛しますが、実感はどうあれ、国の経済は確実に上向いてきています。
そして、経済が建て直されたときに預貯金しかしていない人は、実質的に資産が目減りしていく可能性が高いです。
景気が良くなるとインフレがやってくる
日本は長らくデフレ経済でした。
モノやサービスの値段が下がっていき、企業の収益が伸びず、賃金も上がらないという悪循環です。
それがここ数年、デフレ脱却という兆しが現れ、徐々に物価が上昇してきています。
日銀が掲げている物価目標2%達成は先送りの連続ですが、スピードはどうあれ、確実に物価は上昇してきています。
つまり、インフレです。
最も顕著なのは車でしょう。
例えば、高級車の代名詞であるクラウンは2005年のモデルで一番安いグレードが2.5ロイヤルエクストラATで346.7万円です。
それに対して、最新の2016年モデルで一番安いグレードが2.5ロイヤルATで381.2万円になっています。
単純に34.5万円の値上げです。
10年ちょっとで10%前後の価格上昇。
メーカーの言い分は品質や装備が上がっているということなんでしょうが、それはユーザーからすると企業努力で頑張ってもらいたいところ。
賃金が上昇しているのであればモノの値段が上がっても大丈夫ですが、10年前と比べて賃金はそれほど上がっていません。
ですので、物価上昇分は消費者が負担していることになります。
物価が上昇して困るのは
失われた20年と呼ばれた日本経済の低迷期を経験しているため、今の10~30代は物価や賃金が上昇していくという感覚がありません。
ただ、基本的には経済は成長していき、物価は上昇していくのが世界の常識です。
ここ数年の潮流からいって、多少の浮き沈みはあっても物価の上昇が避けて通れない可能性が高いです。
そうなると、問題になってくるのが賃金と資産です。
賃金に関しては、現在も政府がなかなか賃上げをしない企業に対しも働きかけていますし、いずれは物価とともに上昇していくはずです。
というか、そうなってもらわないと困りますよね。
一方資産については不透明です。
お金を貯めてもクラウンが買えない
貯金はいずれ迎えることになる老後のため、という人が多いと思います。
例えば、30年かけて毎年100万円貯金をし続け、リタイア時点で3,000万円の貯金があったとします。
その30年の間に物価が毎年0.5%上昇していくと、合計15%の物価上昇率になります。
これが何を意味するかというと、貯金をはじめたときに100万円で買えたものが、30年後には115万円になっているということです。
逆にいうと、30年かけて貯めた3,000万円の貯金は、実質的には2,550万円の価値となってしまいます。
まるで嘘のような話ですが、これが現実です。
上のクラウンの例だと、10年で10%上昇していますので、そのまま推移すると30年後には30%ですね。
かなり乱暴な計算なので精度は荒いですが、決して非現実な話ではないですよ。
よしクラウンを買うぞと思って、今から5年かけて380万円を貯めても、そのときには最低グレードでも買えない可能性が高いです。
物価上昇率に金利がついていけるか
でも預貯金の場合は金利があるんじゃない?
確かに預貯金には金利がつきます。
景気が良くなれば、金利も上昇しますしね。
しかし、問題なのは物価上昇率を金利でまかなえるかです。
今の金利はいうまでもなく超低金利で、マイナス金利にまでなっている始末。
定期でよくて年利回りが0.1~0.2%前後です。
1,000万円預けて1年で1〜2万円ですので、ちょっと美味しいものを食べたらなくなってしまいます。
さすがにインフレとなり、経済活動が活発になると金利は上昇するでしょう。
しかし、仮に物価上昇率が年間1%まで上昇したとして、金利がそれ相応、もしくはそれ以上に上昇するかはかなり怪しいです。
銀行も利益を出す必要がありますので。
バブルのようなよほどの好景気でもなければ、物価上昇率を超える金利を設定する可能性はあまり高くないかと。
資産運用も選択肢の一つ
「これなら将来の物価上昇率にも負けない」という鉄板の対策があればいいのですが、残念ながらそんなものはこの世に存在しません。
ありがちですが、資産運用が対策の一つでしょう。
資産運用に絶対はありませんし、ギャンブルという考え方も完全に否定するつもりはありません。
しかし貯金という絶対安全なはずのものが、いざ使おうとしたときには実質8割程度になっているなんてことも絵空事ではありません。
重要なのは近い将来から遠い未来にかけて、自らの資産が実質的にどのように推移していくかを把握しておくことだと思います。
資産運用に関してはこちら。