3大会ぶりか、それとも史上初か、事実上の決勝戦であるベルギーとフランスがセミファイナルで激突しました。
エムバペなどの新興勢力と、グリーズマンらの中堅からベテランがうまく噛み合ってここまで勝ち上がってきたフランス。
アザール、ルカク、デブライネと世界でもトップクラスのタレントを擁し、黄金期を迎えているベルギー。
チーム力でどちらが上とかいうレベルではないので、こういう試合ではそのときのコンディション、チーム戦術、運などが勝敗を分ける可能性大です。
前半
フランスのフォメーションは4-2-3-1。
対するベルギーのフォーメーションは3-4-2-1。
立ち上がりはベルギーがサイドの高い位置に起点を作って、ポゼッションを握ります。
意外だったのは、フランスの選手のポジションが自陣のそれほど高くない位置にあったこと。
ベルギーの攻撃力を恐れてか、かなり引いた位置で待ち構えるといった形をとってきました。
ベルギーがブラジル戦でやったようなことを、今度はフランスがやってきたみたいな。
そういう入り方だったこともあり、ベルギーが攻勢を強めます。
前半15分、デブライネからのパスをアザールが受け、左斜めからグラウンダーのシュートを放ちますが、わずかに右に外れます。
試合の序盤はアザールとデブライネがポジションを目まぐるしくチェンジするため、カンテがボールの取りどころに苦労していましたが、マークが徐々に整理されていき、フランスが盛り返しはじめます。
さらに30分頃になると、マティイディやポグバが少しポジションを下げ、ベルギーの中盤にプレッシャーを与えはじめると、フランスが中盤を支配するように。
前半34分、自陣からグリーズマンが右へループ気味のパス。マークを外したエムバペがダイレクトでゴール前に折り返し、ジルーが合わせるもジャストミートせず、ボールは枠の外へ。
前半37分、グリーズマンが自陣からドリブル、ペナルティエリア手前まで運んでそのままシュートを放ちますが、うまくヒットせずに右に逸れます。
前半40分、右サイドでエムバペがスルーパス。それに反応したパバールが右足のインサイドでシュートするも、クルトワの右足に当たってゴールならず。
と、前半30分からはフランスが攻勢を強め、ベルギーは耐える時間帯に。
圧倒的に攻めているという感じではなく、粛々とゴール前までボールを運んでしまうフランスの攻撃に脱帽です。
いつの間にやら試合の主導権をフランスに渡してしまったベルギーですが、集中してフランスの攻撃を凌ぎ、ここで前半終了。
後半
後半開始早々に試合が動きます。
後半6分にフランスがCKを獲得。
ポグバがおとりとなって、ニアに走り込んだウムティティが頭でそらします。
流石に名手クルトワもこれには反応できずにフランスが先制。
こういうハイレベルで両者慎重な試合にありがちなセットプレーからの得点。
フランスは良い時間帯に貴重な先制点をゲットしました。
逆にベルギーはそこまで崩されていない状況で、手痛い失点です。
ここからしばらくは先制点の勢いでフランスが攻勢に出ます。
後半8分、マテュイディがデンベレに後ろから倒され、ペナルティエリア手間の左角にてFKを獲得。
これをグリーズマンがファーサイドに蹴り込むが、コンパニが頭でクリア。
後半11分、エムバペがポグバとの連携で右サイドを突破し、マテュイディに預け、マテュイディは左足でゴールを狙うもDFのブロックに阻まれます。
ここからは1点を追うベルギーが攻勢に出て、フランスは1点を守りに入ります。
後半16分、ベルギーがマテュイディのドリブルをカットしてカウンターを仕掛けます。
ルカクがアザールとの連携でペナルティエリア右に侵入し、オーバーラップしてきたメルテンスへスルーパス。
メルテンスがダイレクトでクロスを送りますが、クリアボールが中途半端に。
これにデブライネが反応し、右足でボレーシュートするもうまくヒットせず。
ここからさらにベルギーは1点を取りに戦術を変更。
メルテンスが右にポジションを取り、ボールを受けたらすぐにクロスをあげるという空中戦を展開。
そして、どちらかというと左サイドに回ったアザールにボールが渡ったら、とにかくゴリゴリドリブルで相手陣内へと侵入。
誤算だったのは、ルカク、フェライニをはじめとした長身の選手を揃えるベルギーがフランスDF陣との空中戦で大苦戦したこと。
メルテンスからのクロスはかなり精度の高いものでしたが、フランスの中央で待ち構えるヴァランとウムティティのセンターバックコンビが競り勝って、ことごとくボールを遠くにはじき返します。
このクリアボールがゴールエリア付近に落ちるのであれば、ベルギーにもセカンドボールのチャンスがあったのですが、とにかく遠へと弾くまるでお手本のようなディフェンス(笑
さすがレアルとバルサのセンターバックコンビ。
空中戦での勝率が低いことに早々と見切りをつけ、ショートパス、もしくはアザールのドリブルに切り替えるベルギー。
しかし、フランスはアザールを警戒し、カンテが背後霊のようにまとわりつきます。
ここでデブライネが攻撃を牽引できたらよかったのですが、コンディションがあまり良くないのか、この試合では終始精彩を欠いていましたね。
最後のほうはフランスが完全に逃げ切る態勢に入ってしまい、ベルギーも疲れてきてそのまま試合終了。
総評
試合を通して攻守ともにハイレベルなゲームを演じてみせた両チーム。
ベルギーはフランスが前半の守備で混乱していた時間帯に得点を取れなかったのが、後々響きましたね。
フランスはなんやかんやで安定した戦いぶりでした。
エムバペは10番という感じではないですが、一瞬のスピードがとんでもない領域。
マークしている選手は一瞬視界から消えたような感覚なのではないでしょうか。
一方、負けはしましたが今大会で最も個の力を見せつけたアザール。
戦術や連携が重要となっている現代サッカーにおいて、ブラジル戦では相手を何人も引き連れながらボールを運ぶ姿に感動さえ覚えました。
結果としては勝利の女神を味方につけたフランスが決勝戦に駒を進めましたね。
決勝の相手がイングランドかクロアチアということを考えると、順当にいけば優勝はフランスじゃないでしょうか。