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【書評・感想】夢をかなえるゾウは夢をかなえてくれないゾウだった

「夢をかなえるゾウ」を読んでみました。

興味を引くタイトルにインパクトのある表紙。

いかにもウケそうです。

夢をかなえるゾウ

このゾウのふてぶてしい姿(笑

このゾウの絵と本の内容が見事にマッチしていることも、大ヒットと無関係とは思えませんね。

夢をかなえるゾウとは?

170万部を超えるベストセラーで、ドラマやアニメ、ゲームにまでなりました。

内容自体は自己啓発本で、それを小説仕立てにして読みやすくしています。

平凡なサラリーマンである主人公の前に突然現れたゾウの姿をした神様、ガネーシャ。

なぜか関西弁を喋るガネーシャが出してくる課題に日々取り組む主人公。

笑いあり、喧嘩あり、涙ありの自己啓発系エンターテイメント小説です。

あらすじ

ダメダメサラリーマンの僕の前に突然現れた、ゾウの姿をしてなぜか関西弁で話す、とてつもなく胡散臭い神様”ガネーシャ”。

「ナポレオン、孔子、ニュートン、ビル・ゲイツなど、歴史に名を残す人物を指導したのは自分」。

そう言って、半信半疑な僕の家に勝手に住みつくガネーシャ。

さらに成功するために、僕はガネーシャから出された課題をこなしていくことに。

しかし、その教えは「靴をみがく」や「コンビニで募金する」といった地味なものばかり。

こんなんで僕は成功することができるのか・・・。

課題

本書でガネーシャから出される課題について、まとめてみました。

・靴を磨く
・コンビニで(お釣りを)募金する
・食事は腹八分目にする
・人の欲しがる物を先取りする
・会った人を笑わせる
・トイレ掃除をする
・まっすぐ帰宅する
・その日がんばった自分を褒める
・一日何かをやめてみる
・決めた事を続けるための環境を作る
・毎朝、全身鏡を見て身なりを整える
・自分の得意な事を人に聞く
・自分の苦手な事を人に聞く
・夢を楽しく想像する
・運が良いと口に出して言う
・何かを)ただでもらう
・明日の準備をする
・身近にいる大切な人を喜ばせる
・人のいい所を見つけ褒める
・人の長所を盗む
・求人情報誌を見る
・お参りに行く
・人気店に入り、人気の秘密を観察する
・プレゼントをして喜ばせる

課題自体は成功者が実際に行ったものが多いようです。

感想

単純に読み物として楽しく読むことができました。

内容自体はよくある自己啓発本に書いてあることとそれほど大差はないかと。

僕とガネーシャの存在

この本が他の自己啓発本と大きく違うのは僕とガネーシャの存在です。

大抵は書き手が読者に語りかけてくるような文体になりますが、夢をかなえるゾウは僕とガネーシャの絡みを通じて、伝えたいことが書かれています。

自己啓発本の暑苦しさがない

自己啓発本ってどうしても胡散臭さを感じながら読むので、常に暑苦しいんですよね(笑

「靴をみがけ!」、「コンビニで募金しろ!」って上から目線でそんなこと言われてもなぁ、と反発心が芽生えてしまう。

その点、夢をかなえるゾウはずっと気楽に読めてしまいます。

読者はあくまで第三者として、物語に参加するわけなので。

ガネーシャが語る課題に関してもそうですし、説教じみた助言も客観的に、素直に受け入れやすくなります。

ヒンドゥー教の神様ですから

ガネーシャという突拍子もないキャラに、僕を指導させるというのも面白い仕掛けです。

普通だとその道の成功者だったり有名人が「こうしなさい」、「ああしなさい」と口やかましく訴えかけてきます(笑

成功者からの金言はありがたいものですし、参考にもできます。

ですが、同じ人間なのでどこかで妬みや嫉妬が邪魔したり、そもそも才能が・・・なんて考えて、拒絶してしまうところがあるんですよね。

そういった私のような捻くれ者でもガネーシャなら安心。

なんせヒンドゥー教の神様ですから。

無神論者が多い日本人には、ヒンドゥー教の神様なんて縁遠い存在です。

しかも、こんなご尊顔。

夢をかなえるゾウ2

これがもし仏様だったらちょっと違っていたかもしれませんね。

仏様は日本人にとって比較的身近な存在ですので。

でも、いくらあまり知っていないといっても、神様は神様です。

神様の言うことをあまり無下にはできませんし、聞く耳を持ってしまいます。

実践あるのみ

本のタイトルとは異なり、ガネーシャは僕の夢をかなえてくれません。

この本で訴えかけているのは「とにかく行動、実践しなさい」ということです。

内容自体は目新しいものではありませんが、僕とガネーシャというフィルターをかけることによって、読者に伝わりやすくしています。

ちょっと伝え方を変えるだけで、これだけストンと落ちてくるものなんだなと感心させられました。

それに、最後のほうでガネーシャが

「生き方なんて自分で選ぶもんや。自分が幸せだと感じることができれば、それでええんや。誰も努力なんて強制してへんで。そもそも、やらなあかんことなんて存在せんのや」

と語る部分があります。

行動、実践を散々煽っておきながら矛盾した発言にも取れますが、そもそもやるもやらないのも自由であり、世の中にやる必要のあることなんて存在しないと、価値観の多様性にも触れています。

客観的に読んでいる読者に、さらに俯瞰で見る重要性を説くところがフラットでいいです。

まとめ

自己啓発本ではありますが、気楽に面白く読める良書かと。

かなり軽いタッチで描かれていますが、書かれていることは参考になることも多いと感じました。

読んで良かったと思わせてくれる本です。

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